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iwasawa iwasawa
2014.07.07 (月) Category:Web

 

僕はよくこのブログで趣味的・娯楽的な題材に言及するのですが、それは、コミュニケーションの基本的な姿勢として、相手を楽しませたり笑わせたりする気持ちが極めて重要だと思うからです。
なので自分が楽しいと思うものやことを、改めて俯瞰してみる試みにもなんらかの意味が見いだせるのでは、ということで、今回も僕の娯楽について紹介したいと思います。

 

 

<インターネットと娯楽性>

以前このブログで、インターネット上の掲示板を活用した娯楽「やる夫スレ(ッド)」というものを紹介いたしまして、今回紹介するのもまた同じくインターネット上の娯楽なのですが、時系列上ではもっと以前の、僕自身がインターネットに対して娯楽としての側面を見出すきっかけとなった、ある意味で原体験とも呼べるサイトです。

僕自身、インターネットを頻繁に活用するようになったのは社会に出て働き始めた2003年からで、学生時代には美術大学三年次で授業のためにPCを購入し、それは周囲の学友たちと比較すると1〜2年遅れており、パソコンというハード/ソフトに対してもインターネットに対しても相対的にリテラシーは低めだったように自覚していますが、そんな僕ですから、社会に出るまでインターネットについては調べものなど、情報収集のためのツールとして認識してはいたものの、その必要性が低かったために私生活ではさほどブラウザを立ち上げる機会はありませんでした。

しかし仕事を初めてほどなく、情報収集効率の高さからインターネットを飛躍的に活用するようになり、時折、検索時のふとした偶然などから、“娯楽系”サイトの存在に触れ、インターネットに対する認識を改めることになりました。

 

 

<インターネット娯楽 -僕にとってのパイオニアたち->

当時の時代背景を振り返るために少し調べてみたところ、mixiのスタートが2004年、Youtubeが2005年、ニコニコ動画が2006年、ということで、ここで紹介するのはそれ以前からの、ブログ専門サービス等のインフラもなく、個人サイトは個人で制作・運営するのが当たり前だった時代から運営されていたものばかりです。

なお「ブログ」という言葉の認知が広まったのはmixiの流行と同時期だったように記憶していますが、ブログという言葉が一般的でなかった当時は“日記系”とか“テキスト系”などとカテゴライズされていました。

※各サイトの紹介文はあくまで僕個人の記憶と感想に基づいており、その正確性を保証するものではありません。

 

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■Kure’s Home Page
http://www.117.ne.jp/~kure/

僕が人生で初めてハマったウェブサイト。
関西の元漫画家(?)呉エイジ氏のサイトで、自身の趣味(ゲーム、Mac)で満載の内容。
特に好きなコンテンツは、趣味と収入と家庭の間が生み出す軋轢に起因する呉さんと妻との熱いバトルの日々を描いた「我が妻との闘争」と、会社の後輩“のぶお隊員”と共にファミコンカセットを求め続ける「8bit NOW」。
なお残念なことに2009年夏を最後に、更新はストップしてしまっている。

 

■俺とパンダ
http://www.page.sannet.ne.jp/yasunori/

通称「俺パン」、純然たる日記サイトである。
日々の小さな事件にスポットをあてて、ヤスノリ氏(関東在住)独自の視点で持論を綴る。
その理系的な論理の展開や言葉選びのセンスがとっても新鮮。
ちなみに俺とパンダ2を経て、現在は俺とパンダ3が運営・更新されている。
(俺とパンダ3 http://orepan.jp/

 

■吉田が巨大な物を作ってますよ
http://www.yoshidaga.com/

関西(たしか大阪)の吉田輝和氏が運営するサイト。
自身のイラストと短いテキストで綴られる絵日記と、巨大プリンや巨大グミなど、巨大な食べ物を作っては食べる「HUGE」というコンテンツが魅力的。
サイト全体から漂う極めてずぼらで適当な人間性にシンパシーを感じざるを得ない。
こちらのサイトも、現在をもって随時更新中。

 

■古ゲー玉国
http://www.rr.iij4u.or.jp/~fuk/

古いTVゲームを題材にしたアーカイブ的なサイト。
“王国”ではなく“玉国”。経緯は良く知らないが、のび太(ドラえもん)の母親、“野比たまこ”に由来しているものと思われる。
圧巻は「ファミコンDATA BASE」というコンテンツで、任天堂のファミリーコンピュータとディスクシステムで発表されたソフト1252本について、すべてのスクリーンショットと、運営者2名からの一言コメントが添えられており、読み応え抜群で資料的価値も高い。

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もちろん他にもたくさんの面白いサイトがありましたが、僕の記憶に強く残っているものを紹介しました。
蛇足ですが、これらのサイトはそれ自体の面白さもさることながら、そのサイトに辿り着くこと自体が僕にとっては「発見」で、広大なネットの海から宝石を引き当てるような、ある種宝探し的な魅力もありました。

またこのようにテキスト系サイトが流行する中で、個人で活動しているサイト運営者たちが集まる、クロスオーバー的な企画もありました。

 

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■NIKKI SONIC
http://pepami.com/nikki_sonic/

音楽の祭典「SUMMER SONIC」にちなんだ日記ライター達のコラボレーション企画「NIKKI SONIC」。
有志のライター達が、決められた日時に合わせて日記を更新していくという内容。
普段読んでいる馴染み深い人達が一堂に会する様子には、なんだか不思議な心持ちになる。
確認できたのは2004〜2006年の3回。

 

■オフ喜利(レポートサイト:さよならテリー・ザ・キッド)
http://d.hatena.ne.jp/hurricanemixer/20060506

「オンラインで面白い人達が、オフラインでも面白いのかを確かめる」をコンセプトにした企画。
NIKKI SONIC同様有名(?)ライターが集まり、観客の前で大喜利をするという内容。
僕自身は実際に見に行ったことはなく、レポートサイトで文字に起こされたものを読んでいただけだが、推敲された日記ではなくその場の思いつきで回答しなければならないという特殊な状況とライブ感がありありと伝わってきて、これはこれで面白い。
ちなみに上記のヤスノリさん(俺パン)は優勝経験あり。

 

■ULTIMAGARDEN
http://ultimagarden.net/

TVゲームの“やりこみプレイ”を集めたサイト。
やりこみプレイとは、通常の遊び方ではなく、「最速クリア」や「理論上可能な最低レベルでクリア」など、自分なりの制限を設定して遊ぶ、TVゲームのプレイスタイルのこと。
このサイトはイベント企画ではないが、ネット上に点在するやり込みプレイヤー達の記録や情報交換などがされている。
本来動的なコンテンツであるTVゲームのプレイにおいて、テキストのみで考察や実践を表現し、リアリティや臨場感を伝えられているところがとても興味深い。

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<考察>

共通していることは、このサイト達に実利がないということです。
これらをすべて読み尽くしたところでビジネスはおろか実生活に活用できる情報はほぼ皆無で、それは、サイト運営者さん達にとっても同様なはずです。

一部副産物的に、ご自身のテキストが書籍化されたり、アフィリエイトでの収入というものもあるにはあるのでしょうが、その為に運営している訳でないことはサイトを見れば一目瞭然です。

にもかかわらず、ブログサービスも整っていない環境でサイト制作をコツコツと学び、自分なりの表現方法を模索し、オンリーワンな娯楽を世界に向けて発信する彼らから感じるのは、“面白いことをしたい”“人を楽しませたい”という純粋な意欲です。

「遊びは文化よりも古い」とはヨハン・ホイジンガに由来する言葉ですが、人の本能が楽しさ・面白さを求める以上、コミュニケーションに深く携わる僕たちもそれを強く意識する必要があります。

デザインについて考えるとき、今回紹介したサイトから具体的なアイデアが着想されることはないでしょう。
しかしそれ以前のコミュニケーションについて考えるとき、なにかのヒントは得られるかもしれません。

 

以上、月末に大腸の二次検査を控え、更に週末クレジットカードを紛失した不遇をなんとか笑い飛ばしたい岩澤でした。
※クレジットカードは機能を止めたのでひとまず大丈夫です。

 

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