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この1年間、新聞全面広告の考察、色とカタチ。

新聞広告_trends

この一年間、新聞全面広告表現に気になる現象があり、全面青色広告、
青色トーン広告、グリーン広告である。
ヘッドコピー、ボディコピーを同色にする手法は特別ではない。雑誌広告、
エディトリアルではよくやる手法だ。
が、これほど異なる広告主、異なる広告会社でこの表現手法が、新聞全面
広告が展開されている事実を見ると、一種のトレンド(流行り)といって
いい。そう、エコ色広告。みんな一緒、安心・安全広告。
新聞広告表現は、時代を写すカガミなのだ。

新聞のカラー化が始まったのは、全国紙では約20年ちょっと前。産経新聞が
最初で、それも夕刊の料理紹介の欄かららしい。その後の新聞広告のカラー
化は、広告の表現スタイルに大きく変化をもたらした。
表現トレンドがその時々の気分を支配して、広告制作者は誰もがこぞって
トレンド(流行り)に乗った。

1975年10月に総理府から「カラーテレビはほぼ全世帯に普及」と発表された。
テレビの時代が本格的に動きだした。 テレビでCMが放送されたのは1953年で、
テレビCMが人々の生活スタイルに威力を発揮するまで、広告といえば新聞広告
であり、雑誌広告であり、電波といえばラジオの時代だった。

新聞広告の時代は「説得広告」全盛の時代であった。
たくみな文章力で魅了した名作広告が続出した。広告を素直に受け入れる広告
ズレしていない素直な読者(消費者)に支えられて広告制作者は、新聞広告で
経験を積み、新聞広告の説得力を一段と上げ、広告の質を向上させた。
クリエイターの若手参入をすすめていくことになった。
これに対して「印象広告」というのは感性型の広告で、表現の技術でインパクト
をつける広告が多い。写真やイラストレーションの役割が大きく、デザインや
レイアウトなどビジュアル・ショックを計算にいれたアート感覚が尊重された。

テレビでCMが放送されたのは1953年、1975年10月に総理府から「カラーテレビ
はほぼ全世帯に普及」と発表されたのが、1975年10月、22年後。
テレビ時代が本格的に動きだし、テレビCMで「説得」広告は無理で、サービス
としてのエンターテインメントが広告にも求められていったこともあり、「きれい、
おもしろい、新しくて珍しい」が広告に求められることになった。
テレビ広告は「印象広告」の時代に移り、広告が一種のサービスになって、有名
タレント、映画スターを多用し海外ロケや、音楽、CGの技術がからんでテレビ広告
の空前のヒットと発展が続く。

新聞広告のカラー化とテレビ広告の発展は、元来は「説得のメディア」であった新聞
広告を「印象広告」に大きく変化させたといえる。新聞のカラー広告による「印象広告」
が主流になると広告はテレビCM同様多彩にはなったけれど、「説得広告」のメッセージの
伝達能力は格段に低下していくことになる。
そして多メディア時代、新聞広告の「説得広告」は「印象広告」へ、テレビ広告の
「印象広告」は、「説得広告」の時代に移っていく。

多メディア時代の広告の原型は再び「説得広告」の伝えるべきことをきちんと伝える
説得が使命であると考える。これまでテレビは「印象のメディア」であった。今日の
テレビショッピングの番組を見ると、「印象メディア」であったテレビがあれほど商品の
ことがよくわかる「説得広告」となり次から次と、説得ポイントをみつけて攻めてくる。
 
さらに最近では、テレビも新聞も、広告はネットへの橋渡し役となり、詳しくはネット
(Webサイト)や本日(明日)の折り込みチラシでどうぞという案内役になり下がった。
クロスメディア時代の広告は結局「説得広告」「ご理解いただく広告」が主流になり、
今また「説得広告」の時代に戻ってきている。この動きのなかでは、説得する価値のある
情報をどう広告の中心に置き表現するかだ。さらに説得と印象をうまく組みあわせた広告を
もっと多彩にしていくことが私たちの使命ともいえる。
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