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こんにちは。
ADの下村です。
今回は先月行った美術展の紹介をしたいと思います。
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ボストン美術館所蔵
『俺たちの国芳 わたしの国貞』展
Bunkamura ザ・ミュージアム
会期:2016 3/19〜6/5
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http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/16_kuniyoshi/
こちら、会期が始まる前から、表参道駅構内のアドボードで大々的に宣伝がされていて、
ぜひ観に行こうと思っていた浮世絵の展覧会です。

国芳の作品については、2013年の六本木の森アーツセンターギャラリー
『没後150年 歌川国芳展』にて拝見しておりました。
江戸時代の作品とは思えない斬新な構図や色使い、ユーモアにあふれた表現で、
見る人に強いインパクトを与える国芳の絵に驚かされ、一気にファンになったのでした。

今回は、歌川一門の兄弟子である国貞との展示です。
国芳は豪快な武者絵や怪物退治の伝説を大胆な構図で描き、
世の男性が憧れる強くてかっこいいヒーロー像を作り上げていきますが、
それとは対照的に、国貞は粋な美人画や華やかな役者絵を
モード感あふれる繊細な表現で描くことに秀で、
世の女性から絶大な人気を誇っていたとのこと。
だから、『俺たちの国芳 わたしの国貞』展、なんですね。

ちなみに、国芳・国貞が活躍していた江戸時代後期の歌川一門には、
他に『東海道五十三次』で有名な歌川広重も在籍しており、
当時の書物には「国貞にかほ(顔)、国芳むしゃ(武者)、広重めいしょ(名所)」と
得意分野が記されているとのことです。

なかでも国貞は若い時分よりその才能を認められ、師匠の歌川豊国をもしのぐ天才と、
三人の中では一番評価が高かった絵師とのこと。(のちに師である豊国の名を襲名)
しかしながら、私は国貞の絵を見た記憶がなかったため、
果たして豪快な国芳の絵とのコントラストはどんなもんかと期待を膨らませて、
土曜日の朝イチ、開店前のBunkamuraに列をつくったのでした。

Bunkamuraの展示スタイルですが、
当時の文化や流行を次々と作っていった売れっ子絵師としての国芳・国貞の作品を、
「畏怖大海原(ホラー・オブ・ウォーター)」
「千両役者揃続絵(カブキスター・コレクション)」
「当世艶姿考(アデモード・スタイル)」
「怪物退治英雄譚(モンスターハンター&ヒーロー)」
「痛快機知娯楽絵(ザッツ・エンターテインメント)」のコーナーに分けて紹介していきます。

漢字タイトルに、英文タイトルのルビが入っているのが面白いですね。
浮世絵を堅苦しく古風なものとして扱うのではなく、
当時の世相を親しみやすく描いた『お江戸ポップカルチャー』として紹介しており、
若い人にも興味を持ってもらえる楽しい展示になっていました。

ふたりの作風の違いは明確ながら、ある面ではとても似た表現を用いていたり、
同時代にしのぎを削り合っていた同門ならではの阿吽の呼吸みたいなものが観ていて楽しく、
描かれている物語のモチーフや歌舞伎スターたち、
市井の人々の暮らしがとても身近なものに感じられました。

当時のトレンドや人々の暮らしがどんなものだったのか、
イマジネーション広がる展示だったと思います。
こちら、会期は6月5日まで。
ぜひ、ポップカルチャーの発信地・渋谷の街に、
江戸時代のポップカルチャーを覗きにいってはいかがでしょうか。

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