ご無沙汰しております。佐藤です。
家を出た瞬間、「帰りたいな。。」と思ってしまうような真夏日が続いていますね。
電気代の請求書に怯えながらも冷房を使うことをやめられない…、全く夏って奴は…私って奴は……
…そんな暑い日にぴったりな美術展のお話を今回は少し。
先日、新国立美術館で開催されている、
「クリスチャン・ボルタンスキー ―Lifetime」に行ってきました。
現代を代表する作家の一人である、クリスチャン・ボルタンスキー。
写真・古着・映像など、多彩な素材を用いて歴史や人間の存在の痕跡をテーマに
「展示会をひとつの作品のように見せる」という思いのもと構成されています。
自らを「空間のアーティスト」と称して作品を生み出し続ける彼の、
50年の軌跡をたどる大回顧展です。
この展示会の最大の特徴は、広い会場や天井高を活かし、ひとつのインスタレーションのように展示した部屋や
キャプションパネルを敢えて置かず、大きな作品の中に入ったような感覚で鑑賞できることです。
「DEPART」出発、という電飾で作られた文字から始まるこの展示会。
人が生きた証や集積された記憶の断片に思いを馳せ巡っていくうちに、
まるで死後の世界をさまよい歩いているような感覚がしました。
「自分が死んで行き着く先はこのようなところ」と不思議とそう確信してしまうような…
中でも一番印象に残っているのは、会場のどこにいても心臓の鼓動が聞こえることです。
早くもなく遅くもなく、ただ淡々と。
生きていることと、それが止まるものでことを実感します。
その心音に合わせて点滅する電球や、浮かび上がる写真などの展示物もあります。
東京展のために作られた、真っ白い空間で骸骨や人の影が揺れる「幽霊の廊下」や
大量の古着を積み重ね、個々が消えていく様を表現した「ぼた山」など
47作品を楽しむことができます。
前述した以外にも独特な作品が多く、正直好き嫌いがとても分かれるかなあと思いましたが、
私にとっては生と死を実感し、自分の人生と向き合いながらめぐれた特別な時間になりました。
東京展は9月で終わってしまいますが
10月から長崎で開催されます。
ご興味のある方は是非一度足を運んでみてはいかがでしょうか
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新国立美術館 企画展ページ
https://www.nact.jp/exhibition_special/