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こんにちは。CD岩澤です。

今回のブログに何を書くか、ネタらしきものがまったく思いつかないない昨今だったのですが、つい先日のこと、プライベートで突如デザイン制作の依頼があり、それにまつわっていろいろと感じるところがあったので、今回はそれについて少しお話させてもらおうと思います。

 

私事ですが、僕の小学校からの友人がこの秋結婚するすることになりまして。
大変おめでたいお話なんですが、結婚式の準備にともなって、式場に飾るウェルカムボードを作って欲しいと、そういう依頼をされてしまいました。

もともと僕はこの手の、プライベートでの制作依頼というのが、まあ言うほどそんなに頻繁にあることではないのですが、とにかくとても苦手で、基本的にはいつもやんわりお断りしてきました。

なぜかと問われれば 、それは、がっかりされるのが嫌だから、という一言に尽きます。

昔話になりますが、実は学生時代から社会人生活2~3年目くらいまで、シルクスクリーンやら縫製やら革細工を(自分なりに)駆使して服飾その他雑貨などを自作するのを趣味にしていた時期がありまして、友人(結婚する友人とは別の人物です)とコンビでブランドみたいなものを掲げて活動(?)していたりもしたのですが、その頃にも、「お任せで何かつくってよ~♪」的なお願いがしばしばありました。
しかしこういう場合に相手の言を信じ切って、本当にデザインを「お任せ」で作って渡しますと、大概の相手は微妙な表情を浮かべる結果になりました。(表面上は喜んでくれるんですけど、やっぱり滲み出てしまうもので…)
そういった経験から、不必要に自分の心に傷を負うことを回避するために、プライベートでの制作依頼は極力断るようにしてきたというわけなのです。

しかし今回はそんなポリシーを覆して、このウェルカムボード制作を請け負うことにしました。
というのも、新郎(仮に小林くんとします)の希望が、僕単体ではなく、上記で少し触れました、アパレルもどきの活動を行っていた友人(浜くんとします)と“二人で制作してほしい”というものだったからです。
まあ、小学校からの仲である小林くんの人生の晴れ舞台。
がっかりされるのは嫌ですが、二人で制作すればその責任も分散されますし、一丁一肌脱ぎますか、ということで決断に至りました。



ピュアな情熱 vs プロの自尊心

こうして、僕と浜くんによるウェルカムボード制作が開始されたのですが、まず驚かされたのが浜くんの提案スピードでした。

浜くんは、確か今はウェブ制作会社のディレクター(?)。デザイナー経験は無く、普段は進行管理的な役割が主なはず。
そんな彼が、ウェルカムボード制作の依頼が来た日の日の夕方、大量のアイデアをまとめたパワポの資料を送りつけてきました。(依頼はLINEで僕ら二人宛に来ました)
フラッシュアイデアというか、大まかな方向性というか、まぁそんな感じでしたが数にして十数個。
そのスピードに、アンタほんと仕事中に何してんだと思う一方で、制作にかけるそのピュアな熱量のようなものに、変なジェラシーのようなような感情を覚えました。

当然ですが、制作を二人で行うということは、一人で行うのとは色々と勝手が異なります。
二人で制作すると、アイデアをすり合わせるのにも時間がかかりますし、お互いの意見が衝突することもあります。
そもそも二人とも妻子持ちで、日々忙しく、打ち合わせを一回設けるのさえ至難の業です。
その分物理的な手数が増えるから個々の手間は減るのでは、というご意見もあるかと思いますが、一つの完成品を仕上げる場合、作業量を完全に半々に分けられるケースというのは、実はそう多くないのです。作る人の技量やイメージによって微妙に完成像が変化するため、大抵実制作の作業は一人に偏りがちになるのです。(もう一人も口は出しますが)
と書き連ねるとデメリットばかりのようですが、もちろんいい面もあります。僕が今回感じた最も大きなメリットは「モチベーション」の部分でした。

浜くんが大量のアイデアシートを送ってきたとき、凄いなと感心するよりも、くやしい気持ちの方が先に立ちました。
彼のアイデアをベースに事を進めていけば比較的すんなりとウェルカムボードが完成するでしょう。それが一番効率的で簡単です。
ですが、僕が感じたのは「負けてたまるか」というライバル心でした。やはりデザイン制作のプロとしての自負やプライドがそうさせたのでしょう。
また、学生時代を思い出して、「岩沢もつまらない男になったな」などと彼に見くびられたくない気持ちもありました。
まぁその時僕の中には全くアイデアは浮かんでいなかったんですが(苦笑)

 

ビジネスとプライベート/デザインとアートの狭間

さて、浜くんの先制パンチを受け僕のやる気に火が灯ったわけですが、ウェルカムボードというものを作るにあたってまず僕が考えたのは「より良いウェルカムボードを作るためにはどんなことに気を付けるべきか」ということでした。僕自身は結婚式を挙げていないので、このツールについて真剣に考えたことがなかったんですね。
普段の仕事に当てはめて考えると、『クライアント=新郎新婦』の感謝と歓迎の思いを『ターゲット=来賓の方々』に余すことなく伝えるのがウェルカムボードの条件と役割になります。
またターゲットに感動を与えるために新郎・新婦のオリジナリティが必要で、その「らしさ」を表現するために、新郎は昔から知っているからいいとしても新婦についてはあまり詳しく知らないから一度ヒアリングする必要が云々かんぬん・・・。
という、制作にとっては至極まっとうな道筋を半ば反射的に立ててはみるものの。

一方で、そういった当然の前提をいっそ無視して、ひっくり返して考えることで今までにないインパクトが生まれるのかも?という論理を否定した考えも頭をよぎります。
というのは、今回の制作物であるウェルカムボードが誰に向けられるツールなのか、という問題に帰結するのですが、僕(と浜くん)的にはこのウェルカムボードを見た来賓の方々に楽しい気持ちになってもらいたいのは当然ながら、
同時に、新郎新婦・小林くん夫妻にも、同様の驚きと感動を与えたいと考えてしまうのです。

つまり、クライアントの希望を叶えることを第一として、クライアントと一緒に考え、作り上げるというデザイン的な思考と、
クライアントもターゲットもひとくくりに「受け手」として扱い、自分たちのクリエイションでもって感動を生み出したいという自己顕示欲とが露骨にせめぎ合っている状況といえます。
(僕はアーティストではありませんが、このエゴさにはある種のアーティスティックな感情がこもっているように思います)

 

とまぁ以上のようなことをとりとめもなく考えていたのが1週間ほど前のこと。
今はといえば多少制作に対する心構えのような前準備のような部分は整理できてきたものの、今もって具体的な完成像は見えていません。

◎仕事ではないけれど、人の人生に爪痕を残す責任はある。
◎物としての完成度は追及するものの、杓子定規なものでは面白くない。

このバランスがなかなか難しい。普段の仕事ではちょっと体験できない状況で、プライベート独特のユルい進行と真綿で首を締め付けられるようなプレッシャーを結構楽しんでいる今日この頃です。

まだ制作どころかアイデアも固まってはいませんが、友人はじめいろいろな方々が満足に終わるようなものを作りあげたいと思っています。

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